札幌「カフェ森彦」のこと

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札幌の、地下鉄・円山公園駅を降りて少し歩いていくと
静かな住宅街の中に、ひっそりと
ツタの絡まる一軒家が佇んでいます。

それが「カフェ森彦」でした。

お店の前には、ストーブ用の薪が積み上がり
冬が目前に迫っていることを、
わたしたちに知らせているかのようでした。

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薪を積み上げた横には、真っ赤な落ち葉が
じゅうたんのようにびっしりと、
地面を覆っていました。

ちょっと急な階段を、キシキシ…と
音をたてながらゆっくりと上がって、2階へ。
ツタの隙間からやわらかくこぼれた光が
窓を通して、古い建物の中を優しく満たしていました。

木のテーブルと木の椅子。
小さな間接照明。
古いけれど、よく手入れのされた床。
すべてがさり気なく、でも、心地よく調和していて
初めて来たのに、まるで
何度も訪ねたことがあるような安心を感じる空間です。

ゆっくり、ゆっくり。
丁寧に淹れられたコーヒーが
香る湯気と共に運ばれてきます。
深入りの、苦味と酸味がほどよく調和したコーヒー。
ときどき関東のイベントに出店されているので、
たまに、森彦のコーヒー豆を購入できることがありますが、
でもやっぱり、お店で味わうのが、
いちばんおいしいですね。
この空間の中で味わうと、コーヒーの味が
すうっと身体に染み込んでいくようです。

ここは、建物も、植物も、差し込む光も、
静かにゆっくりと深い呼吸をしている感じがして、
気が付けば、自分もいつの間にか
ゆっくりとした呼吸に変わっています。

ふう。

大きく深呼吸して、お店を出たら、
まるで、小さな旅を終えたかのような気分でした。

日常の中の、プチトリップ。

北の国の、優しい時間が流れるカフェです。


大正時代から続く老舗。札幌の「マリヤ手芸店」

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秋色に染まる時計台。
その傍らに佇む、老舗手芸店へ行ってきました。

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路地を曲がると、ツタに覆われた雰囲気のある建物と
「マリヤ」の看板が見えます。

かわいい名前のお店だなぁと思いましたが、
「マリヤ」というのは
伝統工芸の「毛毬」の「毬屋」なんですって。

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お店の中には、木製の手織り&手紡ぎ機がたくさん。
それから、機織用のさまざまな生成り糸や、
これから糸に紡ぐための、羊毛も。

こんなにも豊富に羊毛が揃っているお店は初めてで、
さすが北国、という印象でした。

さらに圧巻だったのが、手芸本の品揃え。

和書も洋書も、とくに刺繍やレースの本は
かなりたくさん揃っていました。
棒針で編むレースの本(珍しい!)から
絶版になっている希少な本まで、充実のラインナップ。
…時間が許すなら、一日中ここにいたかった!
というぐらい、楽しい時間を過ごしました。

手芸好きにはたまらない、
宝物がいっぱい詰まったお店です。
いいなぁ、近くにこんなお店があったら…

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そして、たくさんの本を購入しました。写真はその一部です。

ブラックワーク(黒糸刺繍)の本や、
フランスのアンティーク糸についての本、
ボタンを使ってつくる小物の本。
ほかに、世界各国の刺繍の本も。

一枚の布と、一本の糸。
それだけで、無限の表現ができて
どこまでも可能性が広がっていく刺繍の世界。
本をめくっていると、いろんなイメージが湧き出て
とってもワクワク。

さっそく、自宅に戻ってから
ブラックワークに取り掛かりました。
どんなものに仕立てよう?
あれこれ思いを巡らせながら、
今日も本を眺めています。


読めば読むほど楽しくなる絵本

こどもの頃から、大好きだった一冊。
安野光雅さんの「旅の絵本」です。

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久しぶりにこの本を開いたのは、
きのう2012年の文化功労者の発表があり、
安野さんのお名前を、そこに見つけたからです。

安野さんの絵本は、わたしに
「めくる喜び」「本の楽しさ」を教えてくれた本なので、
とってもとっても、大事にしています。

とくにこの「旅の絵本」シリーズは、
初版は1977年(福音館書店)ですが、
今読んでも…というか、今読んだほうがずっと、おもしろいのです。

それは、自分が育って、さまざまな経験をし、
見聞を広めるほど、
この本に描かれた絵の意味がわかってくるからです。

この本は、一見、
中部ヨーロッパ(フランス〜ドイツあたり)の村や町を
馬に乗った旅人が進んでゆくだけの、
風景画を連ねたような美しい絵本に見えます。
それでも、本のさまざまな箇所に同じ人物たちが登場し、
いくつものストーリーが同時に進行していくので、
その時間の流れを楽しむだけで十分、夢中になれます。

でも、描かれた人物たち、
建物、風景をよーく見てみると、
「あっ!」と気付くことがあるのです。

ミレーやクールベ、ゴッホなどの名画をモチーフにしたもの、
(ものすごくたくさん出てきます!)
「大きなかぶ」「ブレーメンの音楽隊」など民話の一場面、
あるいは映画のワンシーン、
シェイクスピアなどの物語のワンシーン、
それから、現実に存在する歴史的建造物まで。

自分の知識が増えるほど、新たな発見があるのです。

かといって、わたし自身、そのことに気付いたのは
この本を手にして、数年たった後でした。
大学生の頃(たぶん)横浜で開かれていた
安野さんの絵本展に行ったときです。

それまでは「これは『大きなかぶ』だよね」ぐらいしか
気付いていなかったのですが、
「旅の絵本の秘密」がその展覧会で公開されていて、
それぞれの絵の意味が詳しく解説されていたのを見て、驚きました。

自分が思っていたよりも、何倍も(何十倍?)
この本には深い仕掛けがあったのです。
(小説や映画のシーン、現実の建物など、
それまでのわたしには全然わかりませんでした!)

それから…実際にヨーロッパを旅したり、
なにか新しい知識を得たりした後、
また、この本を開くようになりました。
「またなにか発見できるかも!」と、
わくわく、どきどきしながら。

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これまでにたくさんの本を買い、
たくさんの本を開きましたが、
「旅の絵本」ほど、次々に発見が深くなる本はありません。

年月によって古びていく本ではなく、
年月が経つほどに、楽しみが深まっていく本。
いつまでも、めくる喜びは尽きません。


消しゴムはんこが好き

益子さんぽ市で購入した、消しゴムはんこ。

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かわいいー!
そしてやっぱり、キレイに彫ってある…すごいなー。

「13hanko」さんの作品です。
ひとつひとつ手づくり…
って、やっぱりいいですね。

しかも作家さんから直接買うと、
ますます愛着が!!

作り手と使う人が、直接会って
会話をしたりしながら、商品を買うことができる。
それがクラフト市のいちばんの魅力だなーって、思います。
(お客の立場としても、お店の立場としても)
商売の原点。

作り手と使う人の間に介在するものが多いほど、
それぞれの温度(思い)は、薄れてしまって
「作品」は「商品」になり、
「消費」されるモノとなってしまう。

「流通」というシステムは、人の生活を便利にするけれど
そのシステムを通過する回数が多いほど、
モノからどんどん温度が奪われていって、
ある種の「豊かさ」が、削り取られるような気がします。

だから、デパートやスーパーに並んでる品物って
なんだかのっぺらぼうで、人格を感じないでしょう?
(大量生産品だと、余計に、そう思います)

そういう、温度のない商品に囲まれて暮らしていると、
「作り手の温度を感じるもの」
「作り手と使う人が直接交流できる機会」
に惹かれるのかもしれないなぁ、
だから近年、クラフト市や手づくり市が増えてるんだろうなぁ
なんて思ったりします。

あ、なんだか話が長くなりましたね。

まあ、そんなことをぼんやりと考えながら
これからもクラフト市に遊びに行ったり、
参加したりしたいと思います。


宇都宮銘菓といえば

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宇都宮銘菓といえば、これ。
うさぎやの「チャット」。

こどものころからずーっとある、懐かしの味。
ミルキーな白餡としっとりした皮がおいしい、
和菓子のような洋菓子のようなお菓子。
手土産の定番です。
今回は「チャット」と「うさぎもなか」の詰め合わせを購入。
うさぎの形をしたこの最中も、
とってもおいしくて大好きです。

去年ぐらいまでは、チャットのパッケージが
昔ながらのレトロなデザインだったのに、
最近、キラキラの袋に変わってしまって、
ちょっぴり寂しい…
ロゴデザインは同じなんだけど。

そして「うさぎや」というと
上野の和菓子店を思い出します。
どういう関係性なのかなぁ、といつも思います。
創業はほとんど差がなく、どちらも大正初期。
だから、のれん分け、というのとは違うのかも?
こんどお店に行ったら聞いてみよう、と思うのですが
なかなか伝馬町の本店に行く機会がなくて…
ずっと聞きそびれています。

次に買うときは、本店に行かなくちゃ。


今年の新米、ミルキークイーン

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わたしがイベントをしていた週末、
いつもお米を分けていただいている
ご近所の農家さんでは、稲刈りが行われていました。

そして届けていただいた、今年の新米(宇都宮産)!
もっちりしっとり、
とってもおいしいミルキークイーンです。

「今年は水不足で味が落ちる」なんて
ニュースでは報道されていましたが、
農家さんに聞いたところでは、
今年は台風の直撃がなく、一度も稲が倒れなかったので、
そのぶん品質がいいとのことでした。
まだ食べていないのですが…楽しみ!

いつもは玄米を買って、少しずつ精米して食べるのですが
すぐに食べる一袋ぶんだけ、農家さんで精米してもらいました。
よくあるコイン精米機だと精米のスピードが速く、
お米が熱を持ってしまって傷みの原因になるのですが、
農家さんで、一晩かけて低速精米してもらうと
お米の質が保たれるので、
ずっとおいしく食べられます。

農家さんに直接売っていただけるというのは
本当に幸せなことですね。
ごはんがおいしいって、すごく嬉しいです。

そういえば、きのうイベントの行き帰りに
馬頭町〜大子町を車で通ったのですが
山あいの棚田に、黄金色の稲穂が広がって
とってもきれいな風景でした。
まさに、実りの秋。
刈った稲を、“はざかけ”して
天日干ししている農家さんもたくさん見かけました。
(天日干し米、羨ましい…)

東京に住んでいるときは、
「昔ながらの風景」は、どんどん失われて
すごく遠いものになってしまった気がしていたのですが
こうして栃木に帰ってみると、
まだまだ、昔ながらのものが残っていて、
そういう風景を目にするたびに
心の奥になにかあたたかいものが灯るようで、
少しだけ、ほっとするのです。

とはいえ、そういうものを残して、
守っていくことが難しい状況なのも事実。

でも、できるだけ残していけたらいいなと、
そんなふうにいつも思っています。


宇都宮のビール麦で造った地ビール

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秋のイベント会場の下見のため、ろまんちっく村へ行ってきました。
ろまんちっく村と言えば、地元のビール麦を使って
ビールを醸造するブルワリーがあることで有名。

なので、地ビール(と日本酒)を買ってきました。
日本酒は大好きな烏山のお酒、東力士のにごり酒。

肝心の地ビールですが、
MUGI TAROは宇都宮産麦芽とチェコ産ホップで造ったピルスナー。
MUGI JIROは麦太郎からビール酵母を濾過して造ったピルスナー。
ということです。

太郎はコクと苦味のバランスがよく、香りもいいビール。
次郎は太郎より後味すっきり、苦味も少なくまろやか。
写真のほかに、鬼怒川温泉の温泉水で仕込んだ温泉ビールも購入。
温泉ビールがこの3つのなかではいちばん味の濃い、
苦味の利いた味わいでおいしかったです。好みの味でした。

さらに、戦場ヶ原の地下水で仕込んだ「いろは」とか
黒ビールとか、餃子によく合うビール、
なんてものまでありましたが、
それらは次の機会のお楽しみにとっておきます★


campers candle workshopさんのキャンドル

行ってきました、真岡の門前びわ市。

ちょうど「天の織姫市」と
同時開催だったので、すごい人出。
車を駐車するのも市場を歩くのも
一苦労なほどの賑わいでした。

門前びわ市をぶらぶら見て歩いていたら、
以前、studio bacoさんで見かけた
益子のキャンドル作家さん
campers candle workshopさんの
アロマキャンドルを売っていたので迷わず購入。
欲しかった、甘いラズベリーの香り!

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微妙な色の混ざり具合が、とてもきれい。
灯すのがもったいないような明かりですが、
しばらく眺めてから、使いたいと思います。

このキャンドル、火をつけたら真ん中だけを溶かして
筒状に燃えていくんですって。

残った外側を花瓶代わりにして
お花を飾ったりしてもいいそうです。
それも素敵なアイディアですね。
どんなふうに使おうかな。
明かりが終わるまでに考えたいと思います。


安土草多さんの花瓶に花を飾る日々

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飛騨のガラス作家さん、安土草多さんの花瓶を大切にしています。

いちばんはじめは、
銀座の松屋の手仕事展でお会いして
花瓶をひとつ買ったのがはじまりでしたが、
それから年にひとつずつ、うつわ屋さんやイベントで
新しい花瓶を買い足しています。

こちらは近頃お気に入りの一輪挿しです。

琉球ガラスなどとはまた違った感じですが
ほんの少し緑がかったような色合いの(でも透明の)
手ざわりのある厚手のガラスで、
とてもあたたたかみを感じる作品です。

栽培された切り花よりも
野草や、庭で摘んだ花との相性がとてもよくて
このひと月ほど、スノードロップ、すずらん、
小手毬と、白い花ばかり飾っています。
きのうから、写真の小手毬になりました。
ちなみに下のドイリーは自作です。
(上手に丸く仕立てられなかった失敗作なので
自分で使っています…)

白い花を少しだけ飾ると、寂しい感じになりがちですが
安土さんの花瓶に入れると寂しい感じにならなくて、
優しい、ぬくもりのある表情になるところが
とても気に入って使っています。

こういうものを使っていると、
工場で大量生産されたのではない
手仕事のよさを、しみじみと感じます。

手仕事から生まれるものは、
それぞれが世界にひとつだけの作品。
ちょっとした歪みも、色の違いも
すべてに物語があって、
そのストーリーを感じるからこそ
愛おしさが芽生えるのだと思います。


有機的であること

先日、友人と一緒に訪れた八ヶ岳美術館。

山麓の明るい林の中に、
小さな石のドームがいくつも連なって、たっていました。

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球形の建物の内部は、
天井から吊るされたカーテンと間接照明によって
やわらかな、あたたかみのある空間に。

建築には明るくないので、
村野藤吾という建築家がどのような方なのか
少しも知らぬままにそこを訪れたのですが
建物を入ってみて、ほかの美術館とは違う
有機的な雰囲気に、とても惹きつけられました。

「彫像は冷たい素材でできているので
曲線の中に置いて、あたたかみのある質感に
見せたかったということです」と
学芸員さんからお話を伺いました。

美しいドレープを描くカーテンと
やわらかな明かりに包まれた彫像は、
確かに、柔和な表情をしていて
金属的な冷たさをあまり感じませんでした。


わたしは、毎日布を触って暮らしているので
そのカーテンのことがとても気になって
どんな布なんだろうとか、
建築当時から張り替えているんだろうか、とか
いろいろな質問を、学芸員さんに投げかけてしまいました。
(建築当時から3回クリーニングし張りなおしたそうですが
一昨年の改修の際に、新品に取り替えたとのことでした)

建築に曲線を用いること自体は
そんなに珍しくない気がするのですが
(でも近年の有名建築は直線的なものが多いですね)
吊りカーテンを使って、やわらかさを演出することには
けっこう驚かされたというか、好きだなぁ…と。

考えてみれば、自然界には
ビシっとした一直線というのはあまりなく、
丸みやたわみなど、曲線的なものが多いので
曲線のほうが、有機的な空間になるのかもしれません。
そこに布という手触りのあるものが加わるので、
より、あたたかさが生まれているように感じます。

後で知ったことですが
日生劇場、都ホテル、高輪プリンスの貴賓館(改修)など
「好きだなー、この建物」と思った場所の多くに
村野藤吾の手がけたものがありました。

無機物をいかに有機的に見せるか。
それに挑んだ建物に、
わたしは惹かれているのかもしれません。


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