読めば読むほど楽しくなる絵本

こどもの頃から、大好きだった一冊。
安野光雅さんの「旅の絵本」です。

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久しぶりにこの本を開いたのは、
きのう2012年の文化功労者の発表があり、
安野さんのお名前を、そこに見つけたからです。

安野さんの絵本は、わたしに
「めくる喜び」「本の楽しさ」を教えてくれた本なので、
とってもとっても、大事にしています。

とくにこの「旅の絵本」シリーズは、
初版は1977年(福音館書店)ですが、
今読んでも…というか、今読んだほうがずっと、おもしろいのです。

それは、自分が育って、さまざまな経験をし、
見聞を広めるほど、
この本に描かれた絵の意味がわかってくるからです。

この本は、一見、
中部ヨーロッパ(フランス〜ドイツあたり)の村や町を
馬に乗った旅人が進んでゆくだけの、
風景画を連ねたような美しい絵本に見えます。
それでも、本のさまざまな箇所に同じ人物たちが登場し、
いくつものストーリーが同時に進行していくので、
その時間の流れを楽しむだけで十分、夢中になれます。

でも、描かれた人物たち、
建物、風景をよーく見てみると、
「あっ!」と気付くことがあるのです。

ミレーやクールベ、ゴッホなどの名画をモチーフにしたもの、
(ものすごくたくさん出てきます!)
「大きなかぶ」「ブレーメンの音楽隊」など民話の一場面、
あるいは映画のワンシーン、
シェイクスピアなどの物語のワンシーン、
それから、現実に存在する歴史的建造物まで。

自分の知識が増えるほど、新たな発見があるのです。

かといって、わたし自身、そのことに気付いたのは
この本を手にして、数年たった後でした。
大学生の頃(たぶん)横浜で開かれていた
安野さんの絵本展に行ったときです。

それまでは「これは『大きなかぶ』だよね」ぐらいしか
気付いていなかったのですが、
「旅の絵本の秘密」がその展覧会で公開されていて、
それぞれの絵の意味が詳しく解説されていたのを見て、驚きました。

自分が思っていたよりも、何倍も(何十倍?)
この本には深い仕掛けがあったのです。
(小説や映画のシーン、現実の建物など、
それまでのわたしには全然わかりませんでした!)

それから…実際にヨーロッパを旅したり、
なにか新しい知識を得たりした後、
また、この本を開くようになりました。
「またなにか発見できるかも!」と、
わくわく、どきどきしながら。

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これまでにたくさんの本を買い、
たくさんの本を開きましたが、
「旅の絵本」ほど、次々に発見が深くなる本はありません。

年月によって古びていく本ではなく、
年月が経つほどに、楽しみが深まっていく本。
いつまでも、めくる喜びは尽きません。


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