目に見えぬものを信じて

素顔で微笑んでほしい
できたら
愛に我を忘れて
その瞬間のあなたは
花のように自然で
音楽のように優雅で
そのくせどこかに
洗い立ての洗濯物の
日々の香りをかくしている

かけがえのない物語を生きてほしい
できたら
小説に騙されずに
母の胸と
父の膝の記憶を抱いて
涙で裏切りながら
涙に裏切られながら
鏡の中の自分の未来から
目をそらさずに

時を恐れないでほしい
できたら
からだの枯れるときは
魂の実るとき
時計では刻めない時間を生きて
目に見えぬものを信じて
情報の渦巻く海から

ひとしずくの知恵をすくい取り
猫のようにくつろいで

眠ってほしい 夢をはらむ夜を
目覚めてほしい 何度でも初めての朝に


谷川俊太郎さんの「できたら」という詩が好きです。

時計では刻めない時間を生きて、
目に見えぬものを信じて。
のところが、とくに。

それはたぶん、
形あるものがすべてじゃないと知り、
教科書どおりの生き方じゃ届かない思いがあると知り、
誰に用意されたものでもない、
自分自身の道を生きてゆく、ということ。

お世辞も愛想笑いも入り込む余地のないほど、
ちゃんと素顔の自分で生きるということ。
それが、本当に生きるということ。

だと、わたしは思うのです。
だから今日も素直に生きましょう。



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