有機的であること

先日、友人と一緒に訪れた八ヶ岳美術館。

山麓の明るい林の中に、
小さな石のドームがいくつも連なって、たっていました。

DSC02163.JPG

球形の建物の内部は、
天井から吊るされたカーテンと間接照明によって
やわらかな、あたたかみのある空間に。

建築には明るくないので、
村野藤吾という建築家がどのような方なのか
少しも知らぬままにそこを訪れたのですが
建物を入ってみて、ほかの美術館とは違う
有機的な雰囲気に、とても惹きつけられました。

「彫像は冷たい素材でできているので
曲線の中に置いて、あたたかみのある質感に
見せたかったということです」と
学芸員さんからお話を伺いました。

美しいドレープを描くカーテンと
やわらかな明かりに包まれた彫像は、
確かに、柔和な表情をしていて
金属的な冷たさをあまり感じませんでした。


わたしは、毎日布を触って暮らしているので
そのカーテンのことがとても気になって
どんな布なんだろうとか、
建築当時から張り替えているんだろうか、とか
いろいろな質問を、学芸員さんに投げかけてしまいました。
(建築当時から3回クリーニングし張りなおしたそうですが
一昨年の改修の際に、新品に取り替えたとのことでした)

建築に曲線を用いること自体は
そんなに珍しくない気がするのですが
(でも近年の有名建築は直線的なものが多いですね)
吊りカーテンを使って、やわらかさを演出することには
けっこう驚かされたというか、好きだなぁ…と。

考えてみれば、自然界には
ビシっとした一直線というのはあまりなく、
丸みやたわみなど、曲線的なものが多いので
曲線のほうが、有機的な空間になるのかもしれません。
そこに布という手触りのあるものが加わるので、
より、あたたかさが生まれているように感じます。

後で知ったことですが
日生劇場、都ホテル、高輪プリンスの貴賓館(改修)など
「好きだなー、この建物」と思った場所の多くに
村野藤吾の手がけたものがありました。

無機物をいかに有機的に見せるか。
それに挑んだ建物に、
わたしは惹かれているのかもしれません。


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