苦しみの日々 哀しみの日々

苦しみの日々 哀しみの日々
それは人を少しは深くするだろう
わずか五ミリぐらいではあろうけれど

さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと

少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
(わからないよりはいいだろう)

苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである

受止めるしかない
折々の小さな刺や 病でさえも
はしゃぎや 浮かれのなかには
自己省察の要素は皆無なのだから


茨木のり子さんの「苦しみの日々 哀しみの日々」。
ちょっといろいろあって
この詩を思い出しました。
茨木さんの言葉は、厳しいけれど
強くて、まっすぐで、あたたかい。

馴れ合いとか、うわべだけの親切とか、
事を荒立てないための甘い言葉とか、
そういう嘘の優しさは、人を支えてはくれない。
本当に人を支えてくれるのは、
厳しさと強さを持った、嘘のない言葉だと思います。



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